海外旅行の準備をしていて、ふと手が止まる瞬間があります。「保険、どうしよう」。旅行会社の窓口ですすめられる保険は、1週間のアジア旅行でも3,000円〜5,000円。家族4人なら2万円近く飛んでいきます。かといって無保険で行くのは怖い。そこで多くの旅慣れた人が使っているのが、年会費無料のクレジットカードに付いてくる海外旅行保険です。ただし、無料カードなら何でもいいわけではありません。補償額を並べてみると、同じ「無料」でも中身は驚くほど違います。ここでは主要4枚を並べて比べたうえで、旅好きが最終的にどれを選んでいるのかをお伝えします。
保険料0円のまま、旅先の「もしも」に備えられる

年会費無料のカードを1〜2枚、財布に入れておく。それだけで、海外で急に高熱が出て病院に駆け込んでも、治療費の心配をせずに診察を受けられます。空港へ向かう電車代をそのカードで払っておく、たったこれだけの準備で。旅行のたびに保険を買い足す必要もなく、維持費もずっとゼロ。浮いたお金は現地のディナー1回分になります。
ただし、その安心を手に入れるには、選ぶカードを間違えないことが条件です。まずは「どこを見て選ぶか」から押さえていきましょう。
無料カードの保険で本当に見るべきは「治療費用」
カードの広告では「最高2,000万円補償!」といった数字が大きく出ています。でも、あれは傷害死亡・後遺障害の金額です。海外旅行で実際に使う場面は、正直ほとんどありません。
本当に効いてくるのは傷害治療費用(ケガの治療費)と疾病治療費用(病気の治療費)です。海外では日本の健康保険が使えず、医療費は全額自己負担。しかも自由診療なので、日本の常識では考えられない金額を請求されます。ハワイ・ホノルルで盲腸の手術を受けると、総額でおよそ260万円。アメリカ本土なら、入院1日で数十万円というケースもあります。
- 疾病治療費用:海外で一番使う。病気の治療費。ここの金額が命綱
- 傷害治療費用:ケガの治療費。転倒や交通事故に備える
- 携行品損害:スマホやカメラの盗難・破損。ヨーロッパ旅行では出番が多い
- キャッシュレス診療の有無:現地で立て替え払いをせずに治療を受けられるか
この4つを軸に、主要な年会費無料カードを並べてみます。
年会費無料カード4枚の海外旅行保険を比較
比べるのは、エポスカード・楽天カード・JCB カード W・三井住友カード(NL)の4枚。いずれも年会費は永年無料で、保険はすべて利用付帯です。
| 補償項目 | エポスカード | 楽天カード | JCB カード W | 三井住友カード(NL) |
|---|---|---|---|---|
| 年会費 | 永年無料 | 永年無料 | 永年無料 | 永年無料 |
| 付帯条件 | 利用付帯 | 利用付帯 | 利用付帯 | 利用付帯 |
| 疾病治療費用 | 270万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 ※ |
| 傷害治療費用 | 200万円 | 200万円 | 100万円 | 50万円 ※ |
| 傷害死亡・後遺障害 | 3,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 賠償責任 | 3,000万円 | 3,000万円 | 2,000万円 | 2,000万円 |
| 携行品損害 | 20万円 | なし | 20万円 | 15万円 |
| 救援者費用 | 100万円 | 200万円 | 100万円 | 100万円 |
| 申込年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18〜39歳 | 18歳以上 |
※三井住友カード(NL)は「傷害・疾病治療費用」がまとめて50万円という設定です。ケガと病気を合わせて50万円が上限になります。
数字を並べると、差がはっきり出ます。もっとも使う疾病治療費用でエポスカードの270万円が頭ひとつ抜けている。JCB カード Wは100万円、三井住友カード(NL)にいたっては50万円で、ホノルルの盲腸手術(約260万円)にはまるで届きません。三井住友カード(NL)は還元率やタッチ決済が優秀な良いカードですが、海外旅行保険を目当てに持つカードではない、というのが正直なところです。
旅好きがエポスカードを選ぶ3つの理由

比較表を見れば答えはほぼ出ていますが、エポスカードが「旅行用のサブカードの定番」と言われるのには、金額以外の理由もあります。
- 疾病治療270万円は年会費無料カードで最高水準。台湾・韓国・タイなどアジア圏なら、盲腸手術で50〜100万円程度が目安なので、この1枚でカバーできます
- キャッシュレス診療に対応。現地の提携病院なら、その場で数十万円を立て替える必要がありません。海外のカード払いで一番ホッとする瞬間がこれです
- 24時間日本語のサポートデスク。病院の手配から通訳まで、電話1本で頼れます。熱が出て頭が回らないときに、日本語で話せる相手がいる安心感は数字に出ません
加えて、携行品損害が20万円付いているのも見逃せない差です。楽天カードは2022年6月から携行品損害が補償項目から外れました。スリの多いヨーロッパでスマホやカメラをやられたとき、この20万円があるかないかで気持ちがまるで違います。エポスカードの保険の中身をもっと深く知りたい人は、エポスカードの海外旅行保険を解説した記事で補償の細かい条件までまとめています。
正直に言うと、ここは弱い
いいことばかり書くのはフェアじゃないので、エポスカードの惜しいところも先に伝えておきます。
- 救援者費用は100万円で、楽天カードの200万円に負けます。家族が現地に駆けつける費用なので、遭難や長期入院のリスクを重く見るなら物足りません
- 家族特約がありません。補償されるのは本人だけ。18歳未満の子どもは対象外なので、家族旅行では別の備えが必要です
- アメリカ・ハワイでは1枚だと足りません。医療費が桁違いで、盲腸でも300万円を超えることがあります。270万円では届きません
- 2023年10月から利用付帯になりました。持っているだけでは保険が効きません。旅行代金の支払いが必須です
ちなみに、いまだに「エポスカードは自動付帯」と書いているサイトをよく見かけますが、それは古い情報です。2023年10月1日以降に出発する旅行から利用付帯に変わりました。ここを勘違いしたまま出発すると、いざというときに補償ゼロという最悪の事態になります。
ただ、条件は決して厳しくありません。次で具体的にクリアする方法を見ていきます。
利用付帯の条件は「空港までの電車代」でクリアできる
エポスカードの保険を有効にする条件は、「宿泊を伴う募集型企画旅行(パッケージツアー)の代金」か「公共交通乗用具の料金」をエポスカードで支払うこと。金額の下限はありません。数百円の電車代でも条件を満たします。
保険が有効になるのは、カード発行日の翌日以降に出発する旅行から。旅行直前に申し込む場合は、Web申込→マルイの店頭受取なら最短即日で受け取れます。
空港へ向かう電車やバスの乗車券をエポスカードで購入します。JRのえきねっとなどで事前に乗車券を買っておくのが確実です。ここを済ませた時点から補償が始まります。
保険金を請求するときに、条件を満たした証拠として利用明細や領収書が必要になります。帰国まで捨てずに取っておきましょう。
現地で病院にかかるとき、カード裏面のサポートデスクに電話することになります。財布に入れて持っていくところまでが準備です。
気をつけたいのは、対象にならない支払いがあること。自家用車のガソリン代・高速代・空港の駐車場代、レンタカー代、個人で予約したホテル代は対象外です。電子マネーへのチャージやプリペイドカードの購入も認められません。「乗車券そのもの」をカードで買う、と覚えておけば失敗しません。
なお、この条件は年々厳しくなっています。三井住友カード(NL)は2025年10月16日以降に出発する旅行から、日本を出国した後の交通費の支払いでは条件を満たせなくなりました。出国前に済ませておく、が今の常識です。海外でのカード利用そのものについては、エポスカードを海外で使うときの手数料もあわせてどうぞ。
2枚持ちで治療費470万円|年会費はゼロのまま
ここからが本題です。クレジットカードの海外旅行保険には、あまり知られていないルールがあります。傷害死亡・後遺障害を除く補償は、複数のカードで合算できるのです。
つまり、エポスカードと楽天カードを2枚持てば、こうなります。
| 補償項目 | エポスカード | 楽天カード | 2枚合算 |
|---|---|---|---|
| 疾病治療費用 | 270万円 | 200万円 | 470万円 |
| 傷害治療費用 | 200万円 | 200万円 | 400万円 |
| 救援者費用 | 100万円 | 200万円 | 300万円 |
| 携行品損害 | 20万円 | なし | 20万円 |
| 年会費 | 0円 | 0円 | 0円 |
疾病治療が470万円まで伸び、エポス単体の弱点だった救援者費用も300万円に底上げされます。維持費は2枚合わせて0円のまま。アジア圏はもちろん、ヨーロッパでもかなり戦える水準です。
コツは、2枚それぞれで利用付帯の条件を満たすこと。片方だけ払っても、もう片方の保険は動きません。たとえば「パッケージツアー代金は楽天カード、空港までの電車代はエポスカード」というふうに支払いを分ければ、両方の条件が同時にクリアできます。2枚の細かい違いはエポスカードと楽天カードの比較記事で掘り下げています。
それでもアメリカ・ハワイ・長期滞在・持病がある人は、470万円でも安心とは言えません。この場合は損保の海外旅行保険を別途かけてください。カード付帯の保険はあくまで「アジア圏の短期旅行を無料でカバーする」ための道具です。ここを見誤らないのがプロの使い方です。
こんな人にエポスカードは向いている
- 年に1〜2回、アジア圏やハワイ以外に海外旅行へ行く人
- 保険料を1円も払わずに、治療費の備えだけは確保したい人
- すでにメインカードがあり、旅行専用のサブカードを探している人
- 旅行が来週に迫っていて、今すぐカードが必要な人(最短即日発行に対応)
逆に、家族全員を1枚でカバーしたい人や、アメリカ本土に長期滞在する人には、カード付帯の保険では力不足です。その場合は素直に損保の保険を選んでください。
年会費は永年無料。持っているだけで損をすることはありません。次の旅行が決まっているなら、航空券を予約する前に1枚用意しておくのが賢い順番です。
よくある質問
- 年会費無料で自動付帯のクレジットカードはありますか?
-
実質ありません。かつては自動付帯のカードが多くありましたが、各社が次々と利用付帯へ切り替えました。エポスカードも2023年10月から利用付帯です。今は「旅行代金をカードで払う」のが前提だと考えてください。
- 複数のカードで保険は本当に合算できますか?
-
できます。治療費用・携行品損害・救援者費用などは合算されます。ただし傷害死亡・後遺障害だけは合算されず、一番高い金額が上限になります。また、合算するには各カードで利用付帯の条件を満たす必要があります。
- 空港までのタクシー代でも条件を満たせますか?
-
カードによって扱いが分かれます。確実なのは電車やバスの乗車券を出発前に購入することです。JRのえきねっとで事前に乗車券を買っておけば、まず問題ありません。ガソリン代・高速代・駐車場代は対象外です。
- 家族や子どもも補償されますか?
-
年会費無料のカードには家族特約がないため、補償されるのは本人だけです。18歳未満の子どもはカードを持てないので対象外になります。家族分の備えが必要なら、損保の海外旅行保険を検討してください。
- アメリカ旅行でもカードの保険だけで足りますか?
-
足りません。アメリカやハワイは医療費が桁違いで、盲腸の手術だけで300万円を超えることがあります。2枚持ちの470万円でも心もとないため、損保の海外旅行保険を必ず追加してください。
- 旅行直前でも間に合いますか?
-
エポスカードならWeb申込→マルイの店頭受取で最短即日発行に対応しています。ただし保険の対象になるのはカード発行日の翌日以降に出発する旅行なので、出発の前日までには受け取っておきましょう。
まとめ

- 広告の「最高◯◯万円」ではなく、疾病治療費用で選ぶ。海外で一番使う補償はここ
- 年会費無料カードの疾病治療は、エポスカード270万円・楽天カード200万円・JCB カード W 100万円・三井住友カード(NL)50万円
- エポスカードは疾病治療270万円+携行品損害20万円+キャッシュレス診療で無料カード最強クラス
- ただし救援者費用100万円・家族特約なしは弱点。アメリカ・ハワイでは1枚では足りない
- エポス+楽天の2枚持ちで疾病治療470万円。年会費はゼロのまま補償を厚くできる
- すべて利用付帯。出発前に空港までの電車代をカードで払うのを忘れずに
海外旅行の保険は、行く直前に慌てて考えるものではありません。年会費無料のカードを1枚忍ばせておくだけで、旅先で熱を出しても病院に駆け込める。その安心を、コスト0円で手に入れられるのがエポスカードです。次の旅の予約をする前に、まず1枚用意しておきましょう。
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※本記事の補償内容は2026年7月時点の各カード公式サイトの情報にもとづいています。保険の補償額・適用条件は改定される場合があります。申込前に必ず各社の公式サイトで最新情報をご確認ください。


