出発まであと2週間。パスポートの残り期限を確かめて、eSIMを買って、ホテルの予約票を印刷して。ひと通り終わってスマホを置いた瞬間に、ふと手が止まります。「そういえば、このカードって保険付いてたっけ?」
SAISON CARD Digital(セゾンカードデジタル)を海外に持っていこうとしている方に、先にお伝えします。このカードに海外旅行傷害保険は付いていません。国内旅行保険もありません。ただ、慌てて空港の保険カウンターに駆け込む必要はありません。年会費0円のまま、出発前に補償を用意する道がちゃんとあります。
ここでは、公式サイトの記載で「保険なし」を確かめたうえで、どのカードをどう足せば旅先の不安が消えるのか、そして足しても埋まらない部分はどこなのかまで、包み隠さずお話しします。
セゾンカードデジタルに海外旅行保険は付いていません

クレディセゾンの公式カードページを開くと、基本情報のところに「追加機能」という欄があります。セゾンカードデジタルのそこに並んでいるのは、ETCカードのアイコンひとつだけ。ほかのセゾンカードには「保険」「家族カード」といったアイコンが並んでいますが、このカードにはどちらもありません。旅行保険を探して公式ページを上から下まで読んでも、そもそも項目が存在しないというのが答えです。
- 海外旅行傷害保険:なし(自動付帯も利用付帯もありません)
- 国内旅行傷害保険:なし
- 航空機遅延・ロストバゲージの補償:なし
- ショッピング保険(動産総合保険):なし
- 付いているのは「カード不正利用補償(オンライン・プロテクション)」のみ
不正利用補償は、ネット上で身に覚えのない決済をされたときに助けてくれる仕組みです。心強いサービスではありますが、旅先で高熱を出して病院にかかったときの治療費とは、まったく別物ですね。
「Super Value Plus」は旅行保険の代わりになりません
セゾンカードデジタルの公式ページには、月額300円からの任意保険「Super Value Plus」が紹介されています。ここで「じゃあこれに入れば海外も大丈夫かも」と期待してしまう方が多いのですが、実はここが惜しいところ。Super Value Plusは日常生活のケガや入院・通院、携行品の破損や盗難、自転車事故の賠償といった、普段の暮らしのリスクをカバーするラインナップが中心です。海外で入院したときの治療費や、家族が現地に駆けつける救援者費用をまとめて引き受けてくれる商品ではありません。
しかも申し込みは別途、保険料も別途かかります。「年会費無料のカードに付いてくる保険」という感覚で考えると、期待とはかなり違うものが出てきます。
保険なしで飛ぶと、揺れるのは財布ではなく生活です
「短い旅行だし、体は丈夫だし」と思う気持ちはよくわかります。ただ、海外の医療費は日本の感覚がまったく通用しません。外務省や海外旅行保険を扱う損害保険会社が公表している実例を見ると、金額の桁がそもそも違います。
| 渡航先とできごと | かかった医療費用の総額 |
|---|---|
| アメリカ:消化器の病気で数日間入院 | 約860万円 |
| ハワイ:ケガで入院 | 約2,530万円 |
| カナダ:脳炎で入院し、日本へ医療搬送 | 約3,890万円 |
金額が跳ね上がる理由は、治療費そのものだけではありません。家族が現地へ飛ぶ渡航費、日本へ運ぶための医療搬送費が上乗せされるからです。ストレッチャーで飛行機に乗せるとなると、それだけで数百万円が動きます。これを自己負担するとなれば、旅行の思い出どころの話ではなくなります。
空港の保険カウンターに並ばず、そのまま搭乗ゲートへ向かえる

ここからが本題です。セゾンカードデジタルはそのまま使い続けたまま、保険担当としてもう1枚を足す。これが一番現実的で、しかもお金がかかりません。相棒に選びたいのはエポスカードです。年会費は永年無料。それでいて海外旅行傷害保険が付いてきます。
| 補償の種類 | 保険金額 |
|---|---|
| 傷害死亡・後遺障害 | 最高3,000万円 |
| 傷害治療費用 | 200万円(1事故の限度額) |
| 疾病治療費用 | 270万円(1疾病の限度額) |
| 賠償責任(免責なし) | 3,000万円(1事故の限度額) |
| 救援者費用 | 100万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
| 携行品損害(免責3,000円) | 20万円(1旅行・保険期間中の限度額) |
携行品損害は1個・1組・1対あたり10万円までが目安です。スーツケースの中のカメラを落として壊した、というときに効いてくる補償ですね。
「持っているだけ」では動きません。利用付帯の条件を押さえる
ここだけは絶対に間違えないでください。エポスカードの海外旅行傷害保険は、2023年10月1日から利用付帯に変わりました。昔の記事には「持っているだけで自動付帯」と書かれていることがありますが、その情報はもう古いものです。旅行代金をエポスカードで支払っていなければ、旅先でケガをしても補償は動きません。
- 対象になる「旅行代金」は宿泊を伴う募集型企画旅行の代金、または公共交通乗用具の料金
- 日本を出国する前に支払った場合は、旅行開始時から90日間が補償対象
- 出国後に公共交通乗用具の料金をはじめて支払った場合は、支払った時から90日間が対象
- カード発行日の翌日以降に日本を出発する旅行が対象
わかりやすく言えば、パッケージツアー代金か、飛行機・電車・バス・タクシーといった乗り物の料金をエポスカードで払えば条件クリアです。空港へ向かう成田エクスプレスやリムジンバスの料金をエポスカードで切符購入すれば、それだけで保険が立ち上がります。ハードルは高くありません。
出発前にやることは4つだけ
補償の対象になるのは、カード発行日の翌日以降に日本を出発する旅行です。出発当日に思い立って申し込んでも間に合いません。ネット申込のあとマルイの店頭で受け取れば最短即日で手に入りますが、余裕をもって1〜2週間前には手続きを済ませておくと安心です。
ツアー代金があるならそれが一番確実です。個人手配なら、航空券や空港アクセスの電車・バス代をエポスカードで決済しておきましょう。ここだけはセゾンカードデジタルを使わないよう気をつけてください。支払うカードを間違えると補償は始まりません。
保険金を請求するときに「旅行代金をエポスカードで払った」という事実の確認が必要になります。エポスNetの利用明細画面をスクリーンショットで残すか、eチケット控えをスマホに保存しておくと、現地であたふたせずに済みます。
エポスカードには24時間受付の海外旅行保険事故受付センターがあり、日本語で提携病院の案内やキャッシュレス診療の手配をしてくれます。番号はスマホのメモに貼っておきましょう。熱が出てからサイトを探すのは、想像以上につらい作業です。
ここまでやっておけば、空港で保険カウンターの列に並ぶ必要はありません。搭乗ゲートに直行できます。
ここは正直に言います。2枚持ちにも惜しい部分があります
年会費0円で補償が手に入るのは間違いなく強みですが、「これで完璧」と書いてしまうのは不誠実です。弱いところもきちんとお伝えします。
- 治療費の上限は傷害200万円・疾病270万円。先ほどの860万円や2,530万円のような事例には届きません
- 3,000万円が出るのは傷害による死亡・後遺障害のみ。病気で亡くなった場合は対象外です
- 対象はVisa付エポスカードの本会員本人のみ。家族は補償されません(エポスカード会員同士で代表者がまとめて旅行代金を払った場合は同行者にも適用されます)
- セゾンの「tabiデスク」でパッケージツアーを最大8%割引にすると、支払いはセゾンカード。割引を取ればエポスの保険は付きません
- 救援者費用は100万円まで。医療搬送が必要になる事態では足りません
ツアー割引と保険は同時に取れません。ここは正面から選ぶしかない場面です。3泊4日のソウルや台北なら8%の割引を優先してもいいでしょう。ただし医療費が高いアメリカ・カナダ・ヨーロッパ方面、あるいは1週間を超える滞在なら、割引よりも保険を選んでください。数千円の得を取って数百万円のリスクを抱えるのは、割に合いません。
そして、渡航先がアメリカ本土やハワイ、滞在が長い、持病がある、高齢のご家族と一緒。このどれかに当てはまるなら、カード付帯だけで済ませず、損害保険会社の海外旅行保険を上乗せしてください。治療・救援費用を1,000万円以上、渡航先によっては無制限で選べるプランがあります。数日の旅行なら数千円程度で、上限の心配から解放されます。カードの保険は「土台」、上乗せは「屋根」だと考えるとしっくりきます。
それでもセゾンカードデジタルを手放す必要はありません
保険が付かないと聞くと「じゃあ解約しようかな」と思うかもしれませんが、その必要はまったくありません。このカードにはこのカードにしかない良さがあります。
- 申込から最短5分でアプリにカード番号が発行され、その日のうちに使える
- 券面に番号・有効期限・セキュリティコードが一切ない完全ナンバーレス。旅先でカードを人に渡す場面でも盗み見の心配がない
- 決済ごとにアプリへプッシュ通知。身に覚えのない決済はその場で利用停止できる
- ETCカードが発行手数料・年会費無料で最大5枚まで
- 永久不滅ポイントは有効期限なし。年に数回しか使わなくても失効しない
海外で不正利用が一番怖いのは、レストランやホテルでカードを店員に手渡す場面です。番号が印刷されていないカードなら、その不安がそもそも生まれません。旅行中の日常決済こそセゾンカードデジタルの出番だと言えます。
ひとつだけ気をつけたいのが、年会費まわりの落とし穴です。年会費は無料ですが、入会月から翌年同月までに一度もカードを使わないと、カードサービス手数料1,650円(税込)が発生します。旅行から帰ったあと財布の奥で眠らせてしまうと、思わぬ請求が届きます。サブスクの支払いを1つ登録しておく、年に1回コンビニで使う。それだけで回避できます。
役割分担はシンプルです。旅行代金はエポスカード、旅先の日常決済はセゾンカードデジタル。この2枚を財布に入れておけば、補償もセキュリティも手に入ります。
よくある質問
- セゾンカードデジタルで航空券を買えば海外旅行保険は付きますか?
-
付きません。セゾンカードデジタルには海外旅行傷害保険そのものが用意されていないため、何をどう支払っても補償は発生しません。利用付帯・自動付帯という以前の話になります。
- セゾンカードなら旅行保険が付くと聞いたのですが。
-
セゾンカードのなかには旅行傷害保険が付くものもあります。セゾンプラチナ・アメリカン・エキスプレス・カードなどが該当します。ただしセゾンカードデジタルはその対象外です。「セゾンカード全般」と「セゾンカードデジタル」を混同した情報が出回っているので気をつけてください。
- エポスカードは持っているだけで保険が使えますか?
-
使えません。2023年10月1日から利用付帯に変わりました。宿泊を伴う募集型企画旅行の代金、または公共交通乗用具の料金をエポスカードで支払う必要があります。空港へのリムジンバス代を決済するだけでも条件を満たせます。
- 出発の3日前ですが、今からでも間に合いますか?
-
間に合います。エポスカードはネット申込のあとマルイの店頭で受け取れば最短即日で発行できます。補償の対象はカード発行日の翌日以降に出発する旅行なので、前日までに受け取り、旅行代金をエポスカードで支払えば条件クリアです。
- 家族の分もエポスカードの保険でカバーできますか?
-
一般のエポスカードとエポスゴールドカードには家族特約がないため、家族は補償の対象になりません。ただしエポスカード会員同士であれば、代表者が旅行代金をまとめて支払うことで同行者にも適用されます。家族それぞれが自分のエポスカードを持つのが確実な方法です。
- エポスカードの保険だけで足りますか?
-
短期のアジア旅行なら実用的な水準です。一方で治療費の上限は傷害200万円・疾病270万円、救援者費用は100万円まで。医療費の高い北米やヨーロッパ、1週間を超える滞在では上限に届く可能性があるので、損害保険会社の海外旅行保険を上乗せしてください。
まとめ
最後に要点を振り返ります。
- セゾンカードデジタルに海外旅行保険・国内旅行保険は付いていない。公式の「追加機能」欄にあるのはETCカードだけ
- Super Value Plusは日常のケガやモノの補償が中心で、海外の治療費をまかなう商品ではない
- 解決策は年会費永年無料のエポスカードを足すこと。傷害死亡・後遺障害3,000万円、疾病治療費用270万円などが年会費0円で手に入る
- エポスは利用付帯。ツアー代金か乗り物の料金をエポスカードで支払うのが必須条件
- 治療費の上限は決して高くない。北米・ヨーロッパ・長期滞在なら損保の海外旅行保険を上乗せする
- セゾンカードデジタルは旅先の日常決済で活躍する。年1回使えばカードサービス手数料1,650円は発生しない
保険は、使わずに終わるのが一番幸せなものです。それでも、持っていない人と持っている人では、旅先での体調の崩し方さえ変わってきます。「病院に行ったらいくらかかるんだろう」と我慢して悪化させるのか、その日のうちに診てもらって翌日から旅を続けるのか。この差は年会費0円で埋まります。出発前の10分を、未来の自分のために使ってあげてください。
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